進学予定の子供がいる親なら知っておきたいお金の書類と保管期間

今や大学生の半分が借りるといわれる奨学金。今は必要ないと思っていても卒業までにお世話になることがあるかもしれません。お金の不安が消えることはないかもしれませんが、申請にどんな書類が必要なのか知っておけば備えておくことができます。
この記事では高校生・大学生を持つ親が保管しておくとよい書類と期間について解説します。

※2023年6月時点の、大学の奨学金事務担当者から見た内容です。詳しくはJASSOのホームページを確認するか、高校・大学にお問い合わせください。https://www.jasso.go.jp
2023年12月30日修正:継続願の提出時に、生計維持者の年収申告が不要となったので、該当部分を削除しました

目次

はじめに

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は給付奨学金(返還不要)と貸与奨学金(卒業後に返還必要)の2種類があり、何事もなければ家計の審査はマイナンバーで行われるので他に書類は必要ありません。
ただ、貸与奨学金の家計審査では過去2年以内に親が退職・再就職した場合や家族に療養を必要とする人がいる場合などに、追加で提出を求められる書類があります。マイナンバーでは拾えない情報だからです。

定期採用:春と秋の年2回の募集期間に申し込むこと。春では2年前の、秋では1年前の収入で家計審査が行われる。
例)2023年春申込=2021年(1月~12月)の収入
  2023年秋申込=2022年(1月~12月)の収入

また、生計維持者が働けなくなったときに申し込む場合(家計急変採用)でも必要になりますから、いざというときスムーズに手続きができるよう保管の目安にしてください。

家計急変採用:生計維持者が死亡、就労不能、失職などで家計が急変した場合に定期採用以外の時期に申し込むこと。事由発生から3ヶ月以内に手続きが必要。
生計維持者:原則 学生の父、母のこと

給与所得者の収入を証明する書類

給与明細

定期採用の申込前1年以内に転職・就職した場合に、年収の見込み額を算出するために使用します。職場に年収見込み証明書を依頼してもよいのですが、依頼が難しい場合や急ぐ場合に直近3ヶ月の給与明細から平均額を算出し見込みの年収額を計算します。

また、家計急変採用で申し込む場合、過去1年間の収入状況を確認するために直近12ヶ月分の提出が必要です。源泉徴収票が出れば給与明細は捨てても良い、と言う考え方もできますが年をまたいだ場合に困りますので2年分あると安心です。

提出する際は氏名、何年何月分か、支給総額がいくらか、がわかるようにコピーしなければなりません。データ交付の場合はいつの給与明細かわかるように名前を付けて保存しておきましょう。

源泉徴収票

貸与奨学金に採用された後に、生計維持者の収入証明として提出します。(人的保証の場合)
採用されるタイミングによって最新のものを提出するので2年分あると安心です。職場に言えば再発行可能な書類ですが、退職している場合などは言いづらいこともありますよね。データでも良いので保管しておきましょう。

自営業者の所得を証明する書類

帳簿

家計急変採用の場合、年間の所得金額を推算するために直近3か月分を使用します。月ごとの売上総額と経費総額がわかる帳簿の写しを求められます。具体的には「損益計算書」があるとベスト。売り上げと経費に該当する項目にマーカーを引き、所得額に根拠があることを示します。
その際「借入の返金は経費ではないが借入金の利息は経費になる」など科目まで細かく見られますので、日ごろからこまめに記帳しておく癖をつけましょう。

確定申告書の控え

申込時点の約一年の間に開業して状況が変わらない場合や、貸与奨学金に採用された後、生計維持者の収入証明として提出します。(人的保証の場合)
確定申告書の控えは法定保存年限がありますので、自営業者なら当然保管していますよね。

注意が必要なのはe-Taxなど電子申告をしている場合。税務署窓口で提出した場合は受付印を押してもらえるので提出したことわかりますが、電子申告のパターンによっては提出済みであることが確認できません。
その場合は「確定申告書B」に「受付結果がわかる受信通知のメール詳細画面」または「即時通知」を印刷、添付して提出します。会計ソフトなどで受付日時等が印字できる場合は確認できるのでそのまま印刷して提出しましょう。

特別控除を受ける場合に証明となる書類(領収証)

次に該当する場合で証明書類となる領収証が提出できる場合は、特別控除を受けることができます。収入額から差し引かれますので、家計審査で有利に働く場合があります。

家族に療養を必要とする人がいる場合の医療費

申込時点で家族に定期的な通院や治療を必要とする人がいる場合に、控除額となる1年間の支出金額を計算するために使います。直近6ヶ月分の領収書のコピーから算出しますのでタイミングによっては当年分と前年分があるとベター。
確定申告で医療費還付を受ける場合や高額治療費の請求をしなかった場合は処分してしまいがちですが、学生がいる家庭は万一に備えてきちんと人別や日付順に整理して保管しておきましょう。

単身赴任で別居している親の家賃と生活費の一部

生計維持者が単身赴任等で別居している場合は、別居によって発生する家賃、水道光熱費、家具、家事用品の年間実費を計算するのに使います(上限71万円)。ただし領収書で、別居している人の氏名の記載がないと認められません(レシート不可)。心当たりがある方は契約者名を確認し、氏名の入った領収書を発行してもらいましょう。

まとめ

高校生・大学生を持つ親が保管しておくとよい、代表的な書類について解説しました。
わたしが大学職員をしている間にも、親が亡くなったり、病気で働けなくなったり、雇止めにあったりして急に奨学金が必要になった学生をたくさん見てきました。
手続きすれば救済してくれる制度はたくさんありますが、根拠として求められるのはやはり「書類」です。またご家庭の状況によっては他にも児童手当や年金証書など必要になる書類は多岐にわたります。
どんな制度を使うにしても期限を守らなければ受理してもらえません。普段から自分がどんな書類を持っているのか整理し把握しておくことで備えになります。ぜひ参考にしてください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次