【職場環境改善事例】まずは給湯室を片付けてみてほしい

職場の環境改善活動といっても、具体的にどこから手をつけたらいいかわからない。そんな時はまず給湯室や休憩室からやってみることをおすすめします。実際に給湯室を片づけた事例をもとに解説します。

職場の環境改善に「まず給湯室」その理由

１つ目は長い勤務時間の中でほっと一息つける場所だから。
ここを気持ちよく使えると、働く人のモチベーションは高く保てます。

２つ目は事務所内と違ってモノの要不要の判断が容易だから。
限られたスペースなので短時間で片づけきれるところもポイントです。

実際に私の職場で給湯室を片づけた結果、フロア全体が片付いてチーム力がアップした事例をご紹介します。

片付けのプロが職場の給湯室を片付けてみた

片付ける前はどんより空間

約２０名が所属する部署の給湯室。２畳ほどのスペースの左側にシンク、右側に冷蔵庫と食器棚が設置されています。その間、正面突き当りにゴミ箱がずらっと並んでいました。床面積の半分を占める、大小９種類のゴミ箱が邪魔をして冷蔵庫の野菜室と冷凍室は開きません。上にある冷蔵室は無理な体制で開けている状態。どこか空気も重く、あまり出入りしたくない空間でした。

障害になっているものを洗い出す

でも、ここを片づけたらきっと良くなる。

そう思い、何がネックなのか聞き取りを行いました。
「捨てたら○○さんに怒られるらしいよ」当の○○さんに聞くと
「別にいいけど。でもゴミ箱の種類は清掃部門に指定されているから、変えられないと思うよ」との回答。清掃部門の責任者に確認すると
「しばらく前から分別方法が変わっているので９種類も要らないんですよ。なんでこんなにゴミ箱が大きくて多いのか不思議に思ってました。減るんですか？ワックスがけが楽になるからありがたいです」

それぞれの思い込みと遠慮が絡まり合っていただけで、ここをほぐせば解決しそうです。

課題をクリアにして、いざ作業

課題がクリアになったところで
・ゴミ箱をよく使う可燃とプラの２種類にし、サイズも小さくする
・それ以外のゴミは各自がゴミステーションに直接持っていく
・冷蔵庫の中の私物には記名し、各自が責任を持って管理する
この3つを提案し、課長と課長代理の承認を得て有志２人で作業を行いました。

やったことは基本的なこと。ものを全部出して要不要を仕分けし、使うものを納めてラベリング。合間に拭き掃除を行い黒カビだらけだった冷凍庫（！）もきれいになりました。冷蔵庫も正面から開けられるようになり、半年後には天面に電子レンジも設置できました。

給湯室を片付けた後に起きた変化3つ

職場の空気が変わった

「すごい、空気が違う…」
片づけた後の給湯室を見た、片付けに懐疑的だった職員の一言です。空気がよどんでいないのがわかる、すごいですねと言っていただけました。物理的に空気が良くなったことで給湯室に立ち入りやすくなり、そこでの会話も自然と明るいものに。
温かい昼食もいただけるようになり、職員間のコミュニケーションも活発になりました。

他の場所も片付いた

実はあそこも気になってたんだよね…という場所も、別の職員の発案により後日みんなで片づけることに。足の踏み場もない倉庫状態だった会議室が、たった２時間で４人がゆったりと打ち合わせできるスペースに生まれ変わりました。
他にもバックヤード、事務用品の棚など次々に片付いて。清掃部門のかたに「フロアがどんどんきれいになっていくね～」とお褒めいただくほどでした。

自主的に動くようになった

「ここに棚があると効率がいいと思うんだけど」と意見を出したり、備品を交換してもらえないか他の部署に交渉したり。人の顔色をうかがうことなく、自主的に動く職員が増えました。「どうせ言っても無駄だから」ではなく、どうやったら実現するかを考え動く人材に変わっていきました。

予想以上の改善

給湯室を片付けた後に、環境改善が進んだなと思う場所は１年間で５ヶ所以上。
ですが私が率先して「ここも片付けましょう」と申し出たことはありません。意見を求められたりノウハウをお伝えする必要があるときにお手伝いする程度で、みなさんがここも片付けたい、ここをもっと良くしたいと自主的に動いてチームを巻き込んだ結果です。
「きっと良くなる」と思ったけれど、正直ここまで変わるとは予想していませんでした。その良い空気感とチームワークの良さが今でも継続していることが何よりも嬉しいです。

まとめ：職場の環境改善は小さく始めても大きく広がる

給湯室や休憩室は改善後もルールが決めやすく、ここがキレイだと働く人のモチベーションは高く保てます。自分は大切にされている、と感じられるからともいえます。
職場全体の環境改善となると一大プロジェクトになる為、なかなか踏み出せないかもしれません。効果をすぐに感じられる小さい場所から始めて、徐々に広げていくのが良いでしょう。
たかが給湯室、されど給湯室。片付けの波及効果は大きいです。働きやすい職場づくりに整理収納の力を活用していただければと思います。